プレミアムとボラティリティ

オプション取引における「時間的価値」は決済期限(満期日)までの期間が長いほど価値を持つわけですが、それだけではありません。もう一つの重要な要素が「ボラティリティ」と呼ばれる概念です。ボラティリティは要するに値動きの大きさを示します。ここでは、時間的価値に大きな影響を与えるボラティリティについて解説していきます。

ボラティリティって何?

オプションのプレミアムは本質的価値と時間的価値に分解できる」と解説しました。

このうち、本質的価値はコールオプションの場合、「原資産価格-権利行使価格」の額となるように説明しました。一方で、時間的価値については「満期日までの時間」がプレミアムを決める要素と説明しました。
期間が長いほど、権利行使価格に達する可能性がアップするためですね。

ところが、この時間的価値を決める要素がもう一つあります。それが「ボラティリティ」というものです。

参考:ボラティリティとは(金融経済用語辞典:外部サイト)
ボラティリティ(Volatility)とは変動率、標準偏差のことで、一定の期間内での株価や金利といった価値の変動性を示すもの。ボラティリティが高い場合は価値の大きな変動を意味し、ボラティリティが低い場合は価値の変動が少ないことを示す。省略して【ボラ】などというように呼ばれることがある。「ボラが高い、低いなど」

上記のようにボラティリティというのは、相場における変動率の大きさのことを指します。この変動率の大きさというものが、オプション取引におけるプレミアム(オプション料)に対して大きな影響を与えることになります。

ボラティリティというのは変動幅の大きさです
オプションの買い手にとってはアウトオブザマネーのオプションを購入したとしてもボラティリティが高ければそれだけインザマネーになる可能性も高くなります。もっとも、逆方向に動く可能性もあるわけですが、アウトオブザマネーのオプションは行使せずに放棄することができますので、可能性が高くなる方が価値が出てくるわけです。

一方、オプションの売り手からすればボラティリティが高い方があリスクが高くなります。

結果として、「ボラティリティが高い原資産ほどオプションのプレミアム(時間的価値)は大きく」なります。

 

ヒストリカルボラティリティとインプライドボラティリティ

もうお腹いっぱいな感じですが、新しい言葉が出てきました。

ボラティリティには大きく、「ヒストリカルボラティリティ(HV)」と「インプライドボラティリティ(IV)」の二種類があります。

 

ヒストリカルボラティリティ

原資産(日経平均株価など)の過去の継続的な値動きから算出することができる値動の大きさです。過去の実際の株価等の値動きから算出します。 当然、値動きが大きいほどヒストリカルボラティリティは高くなり、逆に小さいほど低くなります。

 

インプライドボラティリティ

現在オプション市場で実際に取引されているオプション価格(プレミアム)から逆算されるボラティリティ。要するに「実際にオプション取引で取引されているプレミアム」と「理論上計算できるプレミアム」との違いから算出されます。
よくわかりにくいかと思いますが、実際に取引れされているプレミアムからヒストリカルボラティリティの値を取り除いて計算されたボラティリティということになります。

具体的には「ブラックショールズモデル」と呼ばれるオプションのプレミアムを計算する計算式を使い計算します。 同計算式ではオプションのプレミアムの理論的価値は「原資産価格」「権利行使価格」「満期日までの期間」「金利」「ヒストリカルボラティリティ」により計算されます。

これを利用して、プレミアムの理論価値からヒストリカルボラティリティを取り除き、理論値の代わりに現在取引されているプレミアムを代入することで、ボラティリティ以外の要素はすべて確定することができます。
結果としてその時点でのボラティリティを逆算することが可能になります。

とても分かりにくい内容かと思いますが、インプライドボラティリティ(IV)はオプション取引の取引画面等で自動的に計算して表示されることが多いので、投資家が実際に計算する必要がありません。

インプライドボラティリティというものは、「今後のボラティリティを投資家がどのように評価しているのか」という評価になるわけです。

 

ここでは、オプション取引におけるボラティリティについて説明してきました。
100%理解できないにしても、ボラティリティの意味や、ヒストリカルボラティリティ、インプライドボラティリティがどんなものなのか?ということを少し覚えておけば、今後説明するオプション取引の組み合わせ戦略などの理解もしやすくなるかと思います。

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